海外ソーシャルメディアマーケティングを外部委託する際は、企業が管理するアカウント、ページ、広告アセットおよび業務データを企業が保有または管理し、サービス提供者は許可された範囲内でのみ操作することを、契約書と資産一覧に定めておく必要があります。契約期間の満了または解約時には、一覧に基づいて権限、資料およびエクスポート可能なデータを返還することも定めます。プラットフォームの規則により譲渡が制限される場合は、「アカウントは企業に帰属する」とだけ記載するのではなく、実際の管理方法を明記します。
よくあるリスクは、サービス提供者の従業員がアカウントを登録し、相手方のメールアドレスや電話番号を紐付け、企業には閲覧権限しかないケースです。担当者の異動や契約終了が発生すると、契約書で帰属を定めていても、企業がアカウントを取り戻せず、広告配信を継続できない、または過去の記録を確認できないおそれがあります。発注時には、帰属、管理者権限、引き継ぎ費用を併せて明確にしておきましょう。
「ソーシャルメディアアカウント」には、ログイン口座以外にもさまざまな資産が含まれます。発注前に、サービス提供者にプラットフォームと用途ごとの資産一覧を作成してもらい、現在の管理者、登録情報、作成主体、現在の状態を記載してもらいましょう。一覧には、少なくとも次の項目を含めます。
一覧は契約書の添付資料とし、資産名、識別情報、管理者、権限付与方法、引き渡し状況を記録するとともに、新たな資産をどのように登録するか定めます。企業が既に保有している資産と、サービス提供者が代行作成する資産は分けて記載するのが望ましいでしょう。引き継ぎ時になって、特定のページや広告アカウントが委託範囲に含まれていないと判明する事態を防げます。

企業が継続的に管理できる企業用メールアドレスと電話番号を使ってアカウントを作成し、プラットフォームで認められる最上位の管理権限を保持するのが望ましいでしょう。サービス提供者は独自のアカウントで権限付与を受け、企業のメインアカウントのパスワードを共有する方法を通常の運用手段としないようにします。管理者の追加、変更、削除の権限や、紐付け情報およびセキュリティ認証方法を変更する際の承認手順について、双方で合意しておきます。
プラットフォームによっては、個人用ログインアカウントが規則上譲渡できず、単純に譲渡可能な資産として契約に定められない場合があります。その際は、個人用ログインアカウントと、企業ページや広告アカウントなどのリソースを区別します。企業が指定する管理者が関連する企業資産を管理し、サービス提供者の担当者は権限付与を受けて協業する形にします。契約締結前に、プラットフォームが実際に対応している役割と移管方法を確認してください。
契約では、制作物の利用権または権利の帰属、納品範囲、納品時期をそれぞれ明記します。コピー、デザインの元データ、動画の編集プロジェクトファイルが料金に含まれるかどうかは、個別に定める必要があります。フォント、画像、音楽などの第三者素材については、ライセンスの範囲と期間を明示し、すべての素材を永久かつ無制限に利用できると一括して保証しないようにします。
データに関する条項では、納品可能な項目、形式、対象期間を明記します。たとえば、問い合わせの流入元、連絡先、収集日時、対応状況などです。プラットフォームやシステムによっては、データを完全にエクスポートできない場合があり、プライバシー規則や権限上の制約を受けることもあります。発注前に、サービス提供者にエクスポート可能なデータ、元のプラットフォーム上でのみ閲覧できるデータ、契約終了後の保存期間を説明してもらいましょう。
企業が自らアカウントを作成して運用を委託する方法は、通常、管理権限を維持しやすい一方、企業側で管理者を指定し、セキュリティ認証、承認、社内の担当者変更に対応する必要があります。企業に設定の知識や体制が整っていない場合は、サービス提供者による代行作成が適しています。ただし、登録主体、紐付け情報、移管条件を事前に確認し、作成後は速やかに企業の管理者へ権限を付与してください。
サービス提供者独自のマーケティングシステムを利用する場合は、システムの利用権と企業の業務資産を区別する必要があります。システムソフトウェアや汎用機能が企業に帰属するとは限りませんが、企業独自のアカウント設定、コンテンツ、エクスポート可能なデータをどのように取得できるかは確認しておきましょう。そのシステムに依存する自動投稿、フォーム、トラッキング機能については、サブスクリプション停止後に利用できなくなるか、再設定が必要かを確認してください。
見積もりを比較する際は、月額運用費だけを見てはいけません。アカウント開設、権限変更、過去データのエクスポート、素材の元データ、移行支援、契約終了後のサポートにかかる費用をサービス提供者に分けて提示してもらい、最低契約期間、早期解約料、追加作業の料金が発生するかも確認します。金額がまだ確定できない費用については、算定方法と事前承認の手続きを定め、引き継ぎ時の予期せぬ価格交渉を避けましょう。
契約書に「契約終了後、移管に協力する」とだけ記載するのは適切ではありません。発動条件、責任者、完了期限、引き渡し方法、検収基準を明確に定めます。中途解約、契約満了、サービス提供者の担当者の退職などのケースについても、それぞれの対応方法を定めておきましょう。資産一覧に基づき、次の項目を個別に検収できます。
プラットフォームの審査、アカウント制限、第三者の許諾などにより期限内に引き渡せない場合に備え、双方の通知、協力、延期時の対応方法を定め、サービス提供者が管理できる問題とプラットフォームによる制限を区別します。協力の拒否、資産の無断削除、データの範囲外利用などの契約違反については、是正要件と責任の負担方法を定めることができます。
発注承認前に、事業責任者とサービス提供者が既存資産を一緒に確認しましょう。誰が管理者を追加できるのか、アカウント復旧にどのメールアドレスや電話番号が必要か、広告費を誰が支払うのか、データがどこに保存されているのかを確認します。企業がまだ管理できていない資産については、権限の追加付与や再作成が可能かを確認したうえで、外部委託の対象に含めるか判断してください。
問い合わせ先の担当者やダイレクトメッセージなどの個人情報を扱う場合は、処理目的、アクセスする担当者、保存期間、再委託の制限、契約終了後の返還または削除方法も定め、適用されるプラットフォーム規則とデータ要件を確認する必要があります。こうすることで、アカウントの帰属を契約上の文言にとどめず、日常の利用と実際の引き継ぎに反映できます。
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